アンサンブルを交えた賑やかなダンスシーンでは、白井が表現のイメージや動線などを振付のair:manに細かく指示。シニカルな歌詞を届ける美声、奇っ怪かつ愉快なダンスが展開する不思議楽しいパフォーマンスが徐々に立ち上がっていく。白井を始めとする稽古場中の人々が作品を愛おしく感じ、遊び心いっぱいに舞台作りに向かっている空気を熱く感じ取った。
「まだアダムス家じゃなくて、橋本家なんですよ!」。歌やダンスなど課題の多さに悪戦苦闘しているという橋本の稽古後の第一声に、真琴が「さとしさんは間違えてヘンなこと言っても、ゴメスとして消化しているからすごい!」と信頼を寄せる。“ウェンズデーが人間の彼氏を連れてくる”というストーリーの発端を担う若いふたりも、役柄への接近に真摯に取り組んでいるようだ。「男の子を引っぱり回す女の子の役は初めて。優雅な真琴さんが演じるモーティシアの娘なので、余裕のある女の子を演じたい。
あらためて家族っていいなと思える作品です」(昆)。「アダムス家の人々と会った時の、人間としての驚きや不思議な感覚を意識して演じたいですね。そのリアクションによってアダムス家を膨らませることができるので大事にやらないと、と考えています」