一方の木南が話すサリバンも「教師ということもあり、達観している大人だと思っていた。けれどすぐむきになる、人間としてまだまだできていない少女です」。一般的な「かわいそうなヘレンと、彼女を導くサリバン」というイメージから遠く離れた、人間らしいふたりが観られそうだ。
森新太郎の演出について、「昨日、急に指示されて関西弁でサリバンをやってみたのが楽しかった」という木南。関西出身の彼女にとって、地元の言葉でサリバンを演じてみるという稽古は肩の力を抜くのにぴったりだったのかもしれない。「まだまだ余裕がないけれど、もっと弱くもっと強く、調子に乗りすぎちゃうくらいのサリバンになれたら」。一方の高畑は5年前に引き続きヘレン役を続投。「前作はコミカルな動きをするところがあったりして、メリハリのあるフィクションぽいつくりの芝居だった。
森さんはよく『リアルに』とおっしゃるんです。今回はその言葉に忠実に、ヘレンの気持ちを繊細に表現したい。セリフがない役ですから、気持ちを入れず身体だけ動かすとすごく疲れる。『こうしたいからこう動く』という思いで、毎日新鮮に演じたい」。若手実力派のふたりが全力で挑む舞台。その激闘をしっかりと見届けたい。