妖しく美しい世界観で魅せるミュージカルが待望の再演
に関わる零の過去が明らかになり……。
乃木坂46での活動の他、女優業にも積極的に挑んでいる若月は、枢に見守られるヒロインでありながらも、零のために時に凛として吸血鬼に立ち向かう優姫を演じ分けて好演。アクションシーンをキビキビとこなす一方で、枢への憧れを浮かべる表情が可愛らしい。そんな彼女を囲むAKIRAとルウトも、芝居はもちろん、歌、ダンス共にしっかりと魅せる。原作コミックのキャラクターをもとに、血の通った人間像を作り上げ演じること、また静止画であるモデルとは異なり、動きのひとつひとつを見られる役者として舞台に立つこと。AKIRAもルウトも、これまでいくつかの舞台を経験しているとはいえ、この高い壁に挑戦し、きちんとクリアしている点に驚いた。中でもAKIRAの歌と、ルウトの芝居心がいい。後半になるにつれ、次第に舞台に引き込まれていった。
ナイト・クラスの生徒は他に、喜屋武ちあき(藍堂英役)、天翔りいら(一条拓麻役)、綾那(架院暁役)、松本愛(支葵千里役)。男役での芝居は難役と思われるが、さすがに宝塚出身の天翔は、歩き方やダンスの見せ方に一日の長がある。喜屋武も男装ユニット「風男塾」の元メンバーという利点はあるが、物語が進むにつれ少年に見えたのは、それよりも彼女がもつ芝居の実力ゆえだろう。