「ダブルキャストだからこそ、同じ役の稽古を自分のことのように見てほしい。もしもの場合、すぐ代わりに役として入れるくらいのつもりで参加してください」。放たれたのは演出家の「役者」に向けての真っ直ぐな言葉──それは、ある夏の日、りぼん60周年記念公演 舞台『こどものおもちゃ』の稽古場でのこと。
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脚本・演出を務めるのは本作のアニメも手がけた大地丙太郎。主人公で、小学6年生の人気子役タレント・倉田紗南には小椋梨央と奥田こころ、なにかと彼女に反発する同級生で問題児・羽山秋人には相澤侑我と板垣李光人と、いずれも舞台や映画で活躍中の子役が挑む。
原作は今年、創刊60周年を迎える月刊少女漫画誌「りぼん」(集英社)で1994年から連載、人気を博したこどちゃこと「こどものおもちゃ」。描かれるのは学級崩壊や大人たちによる抑圧や家族の断絶に、子どもたちが全力で体当たりする姿。なかでもTVアニメ最終話での「しっかりしてよね、大人!」という紗南ちゃんの言葉に心掴まれた人は多いはず。
稽古はシーンごとに小椋梨央主演の「ばびっと組」と奥田こころ主演の「まろちゃん組」の交互で行われ、演出家の指示に応える者、自身の脚本にメモを書き込む者と、私語ひとつ無く真剣な空気が流れていた。