歌舞伎初心者も必見!獅童&松也『あらしのよるに』が開幕!
主人公の狼・がぶは、仲間の狼からバカにされる鼻つまみ者で、山羊のめいは美少年風。演じる獅童と尾上松也の距離感や息ぴったりの掛け合いが微笑ましく、「友達なのに美味しそう…」と、食べたい衝動を必死に抑える獅童の、オーバー気味の演技が義太夫のユニークな語りと相まって客席の笑いを誘う。また、この二匹の仇となる狼・ぎろを演じる市川月乃助はゾクッとするほどの存在感を放ち、山羊・みい姫を演じる中村梅枝は、はんなりとした美しさを醸し出し、めいの幼馴染の山羊・たぷを演じる中村萬太郎は友達思いの山羊を柔らかさの中に強さを秘めて魅せる。
古典の歌舞伎をベースに、誰もが知る羊の童謡を三味線で取り入れるなど、遊びもたっぷり。子ども向けアニメと歌舞伎が融合した舞台の成功を、カーテンコールでのいつまでも鳴りやまない拍手が表していた。「稽古期間1週間で作り上げた」という舞台は、これからさらに磨かれ、どんどん面白くなるはずだ。
開幕前に行われた囲み取材では、「幅広い世代に楽しんでいただける作品に仕上がりました。歌舞伎を観たことがない人にも楽しんでほしい」と獅童が語り、松也は「歌舞伎ならではのいろんな要素が詰まっていて、隙間なく楽しんでいただけます。