である。
狭い空間、近い人間関係の中で展開していくドラマは嫌でも濃厚にならざるを得ない。長女・静花(馬渕英里何)は韓国から日本へ来た青年(キム・ウヌ)と婚約するが、次女・梨花(中村ゆり)の夫の哲男(高橋努)は静花に今でも恋心を抱いており、それを知る梨花は常連客の日白(ユウ・ヨンウク)と関係を持つ。三女の美花(チョン・ヘソン)の恋人は妻ある日本人……。「ないものねだりや!」と怒りを込めて叫ぶ母。「結局、男なんか似たり寄ったり」 と嘆息する三女。それでも身を寄せ合い生きる彼女たちは誰かを求めずにいられない。
そんな激しい感情のぶつかり合いの中で、ひときわ強い存在感を放つのは、母を演じるナム・ミジョンと父を演じるハ・ソングァンのふたり。
ナムが「お母ちゃん、絶対に許さん!」と“肝っ玉母さん”という表現がぴったりの“熱”を見せる一方で、父は、静かにそこにいるだけで一家の大黒柱としてのぶれることのない強さを見せつける。「古い話をしてえぇですか… ?」。三女との結婚の挨拶に来た男を前に、静かに自身の半生を語り始める父。「働いた、働いた…また働いた――」 。片言の日本語に哀愁がにじむ。
明るく楽しい人生が描かれているわけではないのに、全力で生きる彼らのエネルギーゆえか、登場人物たちの姿は滑稽で、全体を通して笑いであふれている。