思い入れある劇場で最後に中井貴一が演じる落語の世界
中井貴一撮影:石阪大輔
再開発計画によって一旦閉じることになったPARCO劇場。今年1月からは、“クライマックス・ステージ”シリーズとして、劇場ならではの演目を打ち出している。なかでも6月に上演される『メルシー!おもてなし~志の輔らくごMIX~』は、その最たる作品となりそうだ。今や 名物となった立川志の輔による独演会『志の輔らくご in PARCO』で披露された新作落語をもとに舞台を作ろうというのだから。主演を担うのは中井貴一。PARCO劇場と作品への熱い思いを見せた。
舞台『メルシー!おもてなし~志の輔らくごMIX~』チケット情報
「今回のお話は、『最後にもう1回どう?』と、劇場が僕を呼んでくれたのかもしれないなと、迷わずお引き受けしました。それぐらい僕はこの劇場が好きなんです」。
中井はこう切り出して、劇場への思い入れを語る。「長い歴史によって作られたあの独特の雰囲気。赤い座席の背がハート型に色あせているのを見ると、これまでのお客様の愛を感じて励まされるんですよね。そして、458席というキャパシティが、観る側としても演者としても心地いいんです。もう少し大きな劇場になると、僕らも届かせようと頑張ってしまったりするんだけど、ここなら、お客様を自然に引き込んで、お客様も自然に引きこまれていくという空間であったような気がします」。