“イケメンのび太”なんて言われたりもするけど(苦笑)、そうじゃないところを舞台の上で見せられたらなと」(小越)
鴻上は、小越の真剣な表情を微笑ましく見ながら「大丈夫。初めて会った時、ぼ~っとしてたよね。あ、のび太だ、と思ったよ(笑)。かっこいいんじゃなくて「チャーミングなのび太」になれると思うよ」と勝算のうなずきを見せた。
「のび太は、僕らが一番感情移入しやすいキャラクター。自分の中にある怠け癖や向上心や負けん気といったものを平均的に持っている男の子なんです。さらにしずかちゃん(樋口日奈)やジャイアン(皇希)、スネ夫(陳内将)など、周囲の人の思いを受けとめるキャッチャーみたいな存在でもある。小越君ならいけるな、と。
でも俺、演出家を三十数年やってきて、初めて主演俳優に『そんなにカッコよく踊るな』って言いましたよ(笑)。男のお客さんに『なんかのび太って、俺と地続きじゃん』と思ってもらわないとダメだからね。たぶん今回で、小越君には男性のファンがつくと思いますよ」(鴻上)
「はい。すごく面白い挑戦だと感じているので、いろんな方に見ていただきたいです。物語に込められた人との絆や助け合いの心、真っ直ぐな熱といったものを、自分の体でしっかりと伝えられたら。