トップ娘役の綺咲は、フランスの元女優で、パーシーの妻・マルグリット役。家族にも正体を隠して生きるパーシーへの疑念と、彼女自身も秘密を抱えている後ろめたさから、パーシーと少しずつ距離が生じてくる。そんなマルグリットの寂しさやもどかしさを繊細に演じ、元女優らしい美しい立ち居振る舞いでも魅せる。
また、スカーレット・ピンパーネルの正体をつきとめようと、血眼になって探しまわる革命政府の公安委員ショーヴランを演じるのは、芝居も歌も圧倒的な実力を持つ礼真琴(れい・まこと)。おどけた振る舞いをしながらヒーローとして活躍するパーシーが“光”の人なら、鋭い目つきでどこか狂気をまとったショーヴランは“影”の人物。革命を正義だと信じ、内から沸々と湧き上がる熱をストレートにぶつけるショーヴランと、七海(ななみ)ひろきが演じる独裁者・ロベスピエールの冷酷さとその裏に垣間見える孤独も、物語を深めている。
衣裳がコロコロと変わるのも見た目に楽しく、特に一幕ラストの仮面舞踏会のド派手なシーンは見どころのひとつだ。華やかさとスリルと軽妙な笑いが絶妙なバランスで絡み合う物語は、ハラハラしながらも、スカッと痛快。
紅率いる個性豊かな新生星組の、これからの期待も高まる幕開けとなった。