くらし情報『戦争を前にあぶり出される男たちの愚かさ、女たちの醒めた視線と嘆き』

戦争を前にあぶり出される男たちの愚かさ、女たちの醒めた視線と嘆き

中でも圧巻は、栗山が「ファムファタール」と語る絶世の美女で、一路演じるエレーヌ。白鳥に化けたゼウスと人間の間に生まれただけあって、終始、何とも言えぬ不思議な浮揚感を身にまとい、男たちを虜にし、グイグイと言葉で切り込んでいくエクトールの攻勢をひらりとかわす。

クライマックスはエクトールと谷田演じるギリシャの将・オデュッセウスの会談。共に戦いを望まぬ知将ふたりの話し合いが、なぜ、その後10年に及ぶ戦争へと繋がってしまうのか…? 栗山が「実に演劇的な仕掛けになっている!」と語る終幕の演出を含め、最後の最後まで目が離せない。公演は10月22日(日)まで東京・新国立劇場にて上演中。兵庫公演あり。

取材・文・撮影:黒豆直樹
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