非現実的な世界を、現実以上に現実的に!?長塚圭史が語るマクドナー最新作
『ハングマン』はそのマクドナーが約8年ぶりに書いた新作だ。死刑制度が廃止された1965年、イギリス北部の町オールダムで絞首刑執行人=ハングマンだったハリーが経営するパブに、ロンドン訛りの謎の男ムーニーが現れたことから、物語は奇妙な方向へと転がっていく。
「翻訳の小川(絵梨子)さんとも話しているのですが、『ハングマン』には解明できないところがいくつもある。どこまでが本当でどこまでが嘘なのかわからないまま終わる、大人っぽい作品です。絞首刑の終わりという時代を取り上げて、現代に繋がる世界の矛盾や得体の知れなさを描いたのは、流石だなと思います」
ただし、日本で上演する上での難しさもある。
「マクドナー作品ではしばしば、地域性が笑いに変えられる。少し馬鹿にしているようなところもあります。この『ハングマン』も、英語で上演すると、イギリス北部の訛りとロンドン訛りの違いに可笑しさが表れるのですが、日本語ではそうもいきません。
それを俳優の居住まいや振る舞いでどう表現できるかが鍵になりそうです」
具現化する出演者は、田中哲司、大東駿介、秋山菜津子ら、個性豊かな実力派俳優陣。
「イギリスのパブという、日本人にはややこしい設定だからこそ、実際のパブ以上にパブというか(笑)