くらし情報『人殺しとして戦い続ける意味。松坂桃李主演舞台『マクガワン・トリロジー』レポ』

2018年7月19日 12:00

人殺しとして戦い続ける意味。松坂桃李主演舞台『マクガワン・トリロジー』レポ

ある意味、一線を越え切っているヴィクターの現状が恐ろしく、また刺激的でもある。これをエンタメとして楽しむ自分の視線に震えた。

2部は背の高い草が生い茂る湖畔が舞台。雰囲気は1部とは打って変わって、静かで内省的。手首を縛られた女(趣里)を車のトランクから出し、会話が始まる。なんと女はヴィクターの幼馴染で、かつて好きだった相手。しかし、この場ではヴィクターが処刑する対象なのだ。女は話の主導権を握り、昔話をし、命乞いをし、ダンスを求める…。
ヴィクターの内面や性格をよく知り、故郷の原風景を共有する女に、初めてヴィクターは迷いが出る。後悔なのか、最後、彼からほとばしる感情が胸に刺さる。

3部では、傷だらけのヴィクターが老人施設に入院する母の元を訪れる。呆けた母は彼を弟と勘違いし、会話が進む。噛み合わない会話の中で、母のヴィクターに対する本音を知る。母に認められたいと頑張ってきたインディアンのような髪の男の子、それが裏切られたことのショックとは…。元は1部だけの作品だったが、ヴィクターのその後を知りたいと3部作になったとか。相手が変わることで、それも幼馴染や母親と根源的な相手になることで、ヴィクターの内面が浮き出てくる面白さ。

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