今回観てくれた子どもたちが大人になった時に、また歌舞伎を観てみようかなという気持ちになってくれたりしたら本当に嬉しいし、この芝居を作った甲斐がありますね」と続けた。
尾上松也も、獅童と共に今回が3度めの出演。「最初に獅童さんから、この役に、と声をかけてもらった時は、僕自身メディアに少しずつ出始めたかなって時だったので。新作でしかもこんな大きな役になる事が、本当に嬉しかった。責任も感じましたし、このお芝居を自分の力で良いものにしていきたい、という気持ちを強く持ちましたね。だから精一杯頑張りもしたのですが、新作というものは不安も結構あるんです。だけど不思議と“この作品は皆様に愛される作品になる”という確信めいたものがありました。実際に大賑わいになって本当に嬉しかったですね」と笑顔で語る。
義太夫や長唄といった歌舞伎の伝統的な表現方法をきっちり使いながら、絵本に描かれる“友情”や“信じる力”といった普遍的なメッセージがきちんと伝わる作り。和服でありながら動物に見える斬新な衣裳や、「食いてーなー」など、それぞれの心情を表現するわかりやすい歌詞等、堅苦しくないなかで歌舞伎の様式美を体感できるのが本作の魅力だろう。