紺野美沙子が音楽家と誘う「誰も眠くはならぬ朗読公演です」
「恩師の頼みですから、しぶしぶお引き受けしました(笑)。それまで源氏物語といえば、恋の遍歴が書かれた物語という印象が強くて苦手でした。次から次へと浮き名を流して嫌だわって(笑)。でも中野先生の本を拝読して、自分はほんの一面しか見ていなかったんだなって。実際には男女の愛憎だけでなく、愛と裏返しの罪や人間の愚かさ、弱さなどが色褪せずに描かれていた。朗読座では、耳で聞いてストンと理解できない演目は睡魔に襲われる要因にもなりますので選びませんが、中野先生の現代語訳は原文に忠実な上、ですます調なので聞きやすい。本当に当時の宮廷に仕える女房たちが、語りかけているような感覚になると思います」
朗読座では毎回映像や音楽を使った「眠くならない」演出も持ち味のひとつ。今回は二十五絃箏・中井智弥とパーカッション・相川瞳の演奏、さらに時代ごとに描かれた錦絵の映像が朗読を彩る。
「中井さんは二十五絃箏の豊かな音色で、紫の上の心情や時の流れを幻想的にも官能的にも演奏してくださる。相川さんはNHK朝の連続テレビ小説で有名になった『あまちゃんバンド』で紅白にも出演された方。才能溢れた方々の力を借りて、私の朗読も一気にパワーアップという感じ。