くらし情報『最高のキャストが揃った新国立劇場ファルスタッフ』

最高のキャストが揃った新国立劇場ファルスタッフ

朗々と聴かせるような大アリアこそない役柄だが、細部まで丁寧で繊細な声の表現にはため息が出る。彼女の娘ナンネッタ役の幸田浩子や、クイックリー夫人役のエンケレイダ・シュコーザ、メグ役の鳥木弥生もハイレベルなパフォーマンスで、随所に登場する彼女たち4人の女声陣の重唱も大きな聴きどころとなっている。

フォード役のマッティア・オリヴィエーリ、ナンネッタの恋人フェントン役の村上公太、ファルスタッフの子分ピストーラ役の妻屋秀和(彼だけが唯一、初演以来すべての《ファルスタッフ》上演に連続出演)ら、どの役にもキャラクターに合致した声と表現力を持つ歌い手たちを得たキャスティング。新国立劇場初登場のイタリア・オペラの名匠カルロ・リッツィが手綱を締めて、終幕の大迫力の(しかしよく考えると馬鹿馬鹿しい内容の)フーガ〈世の中はすべて冗談〉など各幕最後の声楽アンサンブルも実にパーフェクトだ。稽古後、デ・カンディアとメイのふたりが口を揃えて語っていたのも、このチームの音楽の質の高さだった。各所に人材を得て、ヴェルディの思い描いたとおりの理想的な《ファルスタッフ》が楽しめそうだ。

なお、すでに繰り返し上演されて定評を得ているジョナサン・ミラーの演出は、衣裳や舞台装置を、フェルメールなど17世紀のオランダ絵画に発想を得て作られたプロダクション。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
漫画家・脚本家募集LPバナー 上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.