《ノルマ》と(ヴェルディの)《ナブッコ》を、知らずに聴いたら、作者が逆だと思うほど似ています。ベッリーニをヴェルディが発展させたのです」
《椿姫》でも、音楽的に難しいヴィオレッタ役に比べて他の役はシンプルで、たとえば有名なジェルモンの〈プロヴァンスの海と陸〉が平凡(!?)なのは、古い社会の象徴として(古い)ベルカント風に書いているからだと教えてくれた。
《椿姫》の人気の理由として、どの時代にも起こりうる普遍的なテーマとメロディの美しさを挙げたサグリパンティ。なかでも聴きどころは「ワルツ」だという。
「当時ヴェルディがパリで聴いたワルツがさまざまな場面に出てきます。有名な〈さようなら過ぎ去りし日々〉もワルツですね。私が1番泣ける美しいワルツが(第2幕でヴィオレッタがアルフレードに別れを告げる)〈私を愛してね。私があなたを愛しているのと同じくらい〉です。
なぜ泣けるかといえば、あそこで初めて本当のヴィオレッタが描き出されるから。魂をえぐられるようなシーンです」
ちょっとしたアクシデントもあった。トークの途中で震度1の小さな地震。すぐに収まったが、サグリパンティは「ちょっと怖かった」とお茶目に告白。