つかこうへいの「熱海殺人事件」を改竄して上演。その意図を演出家・出演者に聞いた【前編】
「熱海殺人事件」より多和田任益、中屋敷法仁、荒井敦史 撮影:森好弘
1974年、つかこうへいが史上最年少で岸田戯曲賞を受賞した「熱海殺人事件」は、その後つか自らの手で様々なバージョンが上演された。1991年には池田成志を主演に据えた「ザ・ロンゲストスプリング」版が、1993年には阿部寛主演の「モンテカルロ・イリュージョン」版が発表される。今春、この2作品を各回替わりで、敢えて「改竄」バージョンとして上演するという。何故、今「改竄」をするのか。その意図を演出家の中屋敷法仁、「ザ・ロンゲストスプリング」で木村伝兵衛を演じる荒井敦史、「モンテカルロ・イリュージョン」で同じく木村に扮する多和田任益に話を聞いた。
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中屋敷は「信用できないことの多い世の中だからこそ、全てのものは改竄されていると思ってモノを見たほうがいい」と話す。「『熱海殺人事件』の上演当時から時間が経っていますから、きっと観客の皆さんも俳優も、この作品を自分なりに改竄して解釈していると思うんですね。だから本作と真剣に向き合おうとすればするほど、“ニューオールド”や“クラシカル”などの冠がうまく当てはまらない。