『星の王子さま』ダンス化で、森山開次「原作とのギャップ楽しんで」
観客によっては哲学的で難解と感じられるテーマを、ノンバーバルでどのように伝えるのか──。
そう尋ねると、森山は『星の王子さま』の1章で綴られるエピソードを持ち出した。子どもが描いた、象を丸呑みして体がデコボコに膨れた“ウワバミ(大蛇)”の絵を、大人は“帽子(シルクハット)”としか捉えられない。この場面について「子どもの方が発想力豊かで、大人になるほどセンサーが衰えることは現代にも通じる」と感じた森山は、「コロナ禍で視野が狭くなりがちな今だからこそ、同じ物事をいろんな視点から見つめて解釈することが必要」として“想像力”の大切さを訴えた。
この力を鍛えるには「言葉より身体表現の方が、想像の余白やグレーゾーンを残しておける」と森山。そういった意味で「一般的にイメージされる『星の王子さま』をなぞることはせず、ビジュアルからして別物になるでしょう」と予告し、「原作とのギャップを楽しんでください」「大切なものだからこそ、お目にかけたい」と笑ってみせた。日比野克彦の美術・ひびのこづえによる衣裳が、森山のビジョンをどのように支えるか──。こちらもぜひ劇場で確かめて欲しい。
公演は、11月上旬~中旬に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて。