くらし情報『新国立劇場《ルチア》で聴くプリマドンナの至芸』

2021年4月15日 17:00

新国立劇場《ルチア》で聴くプリマドンナの至芸

「ベルカント歌手は舞台の上でまったく動かずに歌だけ歌ったとしてもドラマを表現できねばなりません。コロラトゥーラという装飾歌唱を始めとする多彩なテクニックで、主人公のドラマを歌で表現するのです。《ルチア》はベルカント・オペラの最高峰。特に正気を失ったルチアが歌う〈狂乱の場〉と呼ばれる場面は、歌手にとってはもっとも難易度が高いですが歌い切った時の喜びは格別です。お客さんにとってはロマンチックな場面も多いですし、最高に美しいメロディーにあふれているので、オペラを知らない方にも魅力がよくわかる作品だと思います」無事に初日が開いたら日本の春を楽しみたいそうだ。
「それから大好きなラーメンを食べて(笑)、日本の化粧品を買いたいです。ロシア女性は美容にはとても気を使うんですよ」
劇場は舞台と客席のエネルギーの交換の場だという。
「世界の演劇に改革をもたらしたといわれているロシアの演劇人スタニスラフスキーは『劇場はクロークから始まっている』と言ったそうです。
観客は劇場に入る時に、“日常”というコートを脱ぎすてて別世界に入っていくという意味です。ぜひ劇場に来てください。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています」

インタビュー/記事井内美香

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