についてしまった、幼い姉妹。彼女たちはどうこの世界から生き延びるのか……。そんな「物語」を8つのパートに分け、朗読→演奏の順で音楽の中にある「物語」ともに展開していく。そこでは藤野が「言葉」で紡ぐ不可思議でミステリアスな世界観を川栄の透明感ある「声」で変換し、さらにフランス楽曲が持つ「音」の中を漂うような世界観を三ツ橋が京響とともに奏で、互いを三面鏡にように照らし出していく。
「今回中心となる印象派学派と呼ばれるフランスの作曲家の作品には、古典的なものにはない多種多様な表現があります。それを現実とファンタジーの世界を行き来するような藤野さんの作品と結べば、新たアドベンチャーが生まれるはず」と三ツ橋が語れば、「小説を読ませていただいて素晴らしい作品だと思いました。オーケストラの演奏を私も楽しみにしています。色々な方に楽しんでもらえると思います」と川栄。
そして藤野は「もちろん、眠ってしまう奇病というのは今の<現実>に影響されています。『眠り姫』を下敷きにはしていますが、この物語を書き進むうちに現実と『眠り姫』の物語がリンクしていきました。私としては、<眠るということは、いつか起きるということ>でもあると思っています」