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柔軟な表現力と、それを可能にする巧みな技術。彼女の歌を聴くといつも幸福な気持ちになる。ソプラノの森麻季がライフワークとして取り組むリサイタル・シリーズ「愛と平和への祈りを込めて」が今年も9月に行われる[9月12日(日)東京オペラシティコンサートホール]。
2001年9月、ワシントン・ナショナル・オペラ《ホフマン物語》にオランピア役で出演しているとき、米国同時多発テロに遭遇した。数年後、広島の原爆記念公演で歌った舞台上で、抑えきれずにさまざまな思いが込み上げてくるのを経験して、節目ごとに祈りの気持ちと向き合うこの企画を準備。スタートしたのは、はからずも2011年、東日本大震災の半年後の9月だった。
「今年で11回目。その間も毎年のように、どこかで災害があったり、海外では戦争が起こったり。
それなのに私たちは忙しい毎日の中で、それに向き合う機会がなかなかありません。音楽を通して、つらい体験をされた方々に思いを馳せ、一緒に前を向いて生きる気持ちになれるような、一人ひとりが平和に感謝する2時間にしていただければと願っています」
今回はアニヴァーサリー・イヤーの作曲家を軸に据え、ロシア音楽も初めて集中的に取り上げる。