くらし情報『激しく、深く、心にしみるマイスキーのバッハ』

2022年11月8日 10:30

激しく、深く、心にしみるマイスキーのバッハ

激しく、深く、心にしみるマイスキーのバッハ

(左)ミッシャ・マイスキー(右)マクシミリアン・マイスキー


自由で開放的な音楽。この人が日本びいきなのはうれしい。5月に続いて来日したチェロ奏者のミッシャ・マイスキー。1986年の初来日以来、これでじつに53回目の来日だという。今回の目玉は東京と名古屋でのJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲演奏。全6曲を第1、4、5番と第3、2、6番に分けて2日間で弾く。曲ごとの調性の組み合わせや、舞曲の構成の違いなどを吟味して割り振っているのだが、「1+4=5」「3×2=6」という数字遊びも気に入っているそう。東京公演の2日目を聴いた[10月31日(月)サントリーホール]。

第3番の冒頭〈プレリュード〉からいきなり豊かな歌が始まる。生き生きと、そしてときに床を足で踏み鳴らしながら激しく。大胆なルバートを用いることもためらわないが、“弾き飛ばす”ようなところは一小節もない。彼はこう言っている。
「よくエモーショナルな演奏と言われるけど、こだわりを持って細かく読み込んでいるからこそ自由がもたらされる。それが音楽だと思うんだ」
〈サラバンド〉の前で少し間を空けて弾き始めるのは3曲とも同様。この緩徐楽章の深い表現、とくに第2番のそれには心を打たれた。

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