未来の自分から手紙が届いたら?『orange』が描く後悔しない人生とは
未来は変えられる?10年後の自分からの手紙最近、この歳になって今さらですが、「人って死んじゃうんだな」と実感しています。もちろん命が有限だということくらいは知っていましたが、親しい人を亡くして初めて、その悲しみの種類を知りました。
昔から少女漫画には人が死ぬシーンはたくさんあり、そのたびに読者の涙を誘っています。アンソニー、オスカルさま、マヤのお母さん……。
「人が死ぬと悲しいだろうな」ということは子どもでもわかります。だから、「人が死ぬ話を描けば読者を泣かせることができる」でしょう。
でも、その「泣かせる」にどれだけ味つけができるかは、作者のセンス次第です。
(c)『orange』(高野苺/双葉社 アクションコミックス)全5巻
『orange』は高校の始業式の日、主人公・菜穂のところに10年後の自分から手紙が届くところから始まります。
そこには、これから起こることと、いずれ後悔するからこうして欲しいという指示が細かく書いてあります。その予告があまりに当たるので、菜穂はその手紙を信頼し、その指示に従うようになっていきます。
物語はとてもよく出来ていて、最初は小さな円だったものが、どんどんと周りを巻き込んで大きくなっていきます。