くらし情報『『カカフカカ』は愛のない体の関係×特別感の新しい少女マンガのかたち』

『カカフカカ』は愛のない体の関係×特別感の新しい少女マンガのかたち

2018年3月14日 12:00
 

愛のないセックスの禁忌×特別感という本流

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『カカフカカ』は愛のない体の関係×特別感の新しい少女マンガのかたち
女は、恋愛関係において圧倒的に立場が弱いように思います。
大人になると「おつきあいしてくださいっ!」なんて告白してから関係が始まることって、むしろ少なくなりませんか。
なんとなくいいムードになって、セックスしてから「あれ……? これは付き合うってことでいいのかな? いいんだよね?」と悩む。

男性の圧倒的大多数が「体だけの関係OK」な生き物だそうで、そして大変タチが悪いのは、一発抜くためならどんな嘘でも平気でつけるってこと。「好き」とか「一緒にいたい」とか、すごく相手に好意がありそうなことをいっぱい言えます。しかも嘘をついている自覚がなく、本気で言ってる場合も多いそう。それに女性がまんまと引っかかって「好かれてるのかな」なんて思っていたら、行為が終わった後に「え、遊びでしょ?」なんて言われてズタズタに傷ついたなんて話を、あっちでもこっちでも耳にします。

少女マンガでも、男女がくっつくまでのディテールを追っていって、人気が出て連載が長引くと今度は「この人は私に本気なのかしら……?」なんて悩み始める。これお決まりパターンですよね。
だから少女マンガをはじめ、女性向けのエロ媒体であるティーンズラブコミックですら、愛のないセックスを扱うことはほとんどありません。男の熱い想いの結果が性行為だったり、最初は遊びだったのに、セックスしたらなんでだか彼女に溺れて夢中になったり。

ところがこの 『カカフカカ』は、展開が逆です。
実はEDに悩んでいる本行(ほんぎょう)は、ルームメイトの寺田さんだけに反応するという、謎の展開からはじまります。

『カカフカカ』は愛のない体の関係×特別感の新しい少女マンガのかたち
カカフカカ(1) /石田 拓実(著/文)/発行:講談社
基本的に少女マンガは、主人公に特別感を与えて読者を気持ちよくさせます。部活で大抜擢されたり、受けてもいないオーディションで大抜擢されたり、何が魅力なのかわからない主人公の元へ男子が我先にと言い寄ってきたりと、他の人が持たない特別感を与えられる展開になります。

そしてとうとう、EDの男性が自分だけには勃つなんていうパターンまで発展しました。余談だけど、これって自分以外にはEDなんだから、浮気の心配がなくていいですね。人生のどん底でどう足掻くかが分かれ道
本来、愛の伴わない機械的、動物的なセックスは少女マンガの禁忌です。自分が単なる肉の塊として扱われ、便器のように処理をさせられるのは、たまらない屈辱ですから。「EDを治したいから」って理由も、愛情なんかぜんぜんない、むしろどっちかって言えば機械的です。治療のためといえば、なんか医療行為っぽいけど、愛があるかと言えば、なさそう。

そんな愛のないセックスという禁忌と、特別感という本流を組み合わせてできたのが、 『カカフカカ』なのです。新しい!

そして、突然特別感を与えられた寺田さんは、中学生の頃、世界の中心は自分にあると思っていた、無敵な人間でした。それがだんだんと「自分は別になにもすごくない」ことに気づいていきます。そして自信のカケラもなくなった現在、24歳。男も家も仕事もありません。

無意味に万能感に満ちあふれる時代って、ある人にはありますよね。この前ちょっと話をした青年は、輝くばかりの「わかった感」を噴出していたので、話を聞きながら「いったいこの先、どこでポッキリ折れるのかな」なんて想像してしまった。

少女マンガでは、自己否定感の表現が年々形が変わっています。70年代は「みなしご」だったり「お転婆で女らしくない女の子」だったり。現在は「友達作りに悩む」「空気を読むのに腐心する」なんてカタチで表現されます。女性がその時代その時代で、何に悩んでいるのかがよくわかりますね。70年代の少女マンガの主人公なんて、暑っ苦しく自分や正義をふりかざして、誰も空気読んだりしませんから。

自信喪失中の寺田さんには特別感が与えられましたが、現実はそうは上手くいきません。だからって「マンガはファンタジーだから」なんて拗ねちゃダメです。1度、完膚なきまでにどん底を味わった人って強いです。言い訳も、助けの手もない状況になって「自分は本当にダメなヤツなんだ」ってゼロから見直すと、変なプライドがなくなって人生が動き出したりするものです。言い訳をするか、しないかが人生の分かれ道なんです。

作品では、寺田さんに与えられた特別感が、この先どう展開するかを楽しみにしています。

Text/和久井香菜子

前回記事<空気読んで、愛想笑いするのはもうやめませんか?『凪のお暇』>もチェック!
人の目を気にしてたらもったいない。
「コンプレックス女子」の主人公が変わる勇気をくれる。

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