一筋縄ではいかない恋愛小説家に学ぶ正反対の2つの視点を持つことについて
私はヴィアンの2冊の小説を読むと、物事に対するバランスのとれた距離感、というのを考えます。ある事象に対して、同一人物とは思えないほど正反対の2つの視点を重ねて持つこと――ヴィアンの2冊の小説を読むと、そんなことが可能なのかと驚きますが、何か1つの考え方にのめりこんでしまいそうになったとき、こういった視点に救われることって大いにあります。
ちなみにこのヴィアンという作家、『唾を吐きかけろ』が映画化したというので試写会に行ったところ、その試写会で心臓発作によって倒れ、そのまま亡くなったそうです。「俺は40歳まで生きないだろう」と予言していたとおり、享年39歳。この人、やっぱりどこまでも変な人ですねえ。
というわけで、こんな時期だからこそ、『日々の泡』をじっくりゆっくり読んでみるのおすすめです。ちなみに私は、『墓に唾をかけろ』のほうが好きですけどね!Text/ チェコ好き