自分の甘さから逃げるな!「津山30人殺し」を通して戒める『負の暗示』
それ故、関係を持った女たちからの、手のひらを返したような冷遇。人生が上手く行かないことに、どんどんと彼の不満は募っていきます。
確かに、身体が弱かったこと、家が貧しかったことなど、恵まれた環境ではなかったのかもしれません。けれど、だからといって人を殺していい理由にはならないはずです。
先送りした逃避は倍になって戻ってくる
(c)by Stephen Brace
人間誰でも、自分には甘いものです。自分のした行動には、いくらでも言い訳ができます。だからこそ「自分が未熟であること」を認めることが、大人になる最初の儀式です。自分を客観視するのは辛い作業です。
でも、それを乗り越えないことには、人生をよりよく切り開いていくことはできないのです。
そして、他人を蔑むことや恨むことは、尊重するよりも簡単です。私たちはいつでも、何度でも、自分の行動を客観視し、自ら戒めていく必要があるのです。その辛い作業から目を背けているうちに、どんどんと大きな問題になっていきます。そうして逃げられないところまで追い詰められてしまう人を見る度に、この作品のことばを思い出します。
「先送りした逃避はいづれ目の前に戻ってくるさらに倍になって」