「余り者同士で付き合っちゃえ」にいいともいやとも言えなかった私
社長はくだらない話が好きな人で、仕事の話を挟みながら、終始バカみたいな話をして3人で3時間くらいゲラゲラ笑いながら過ごしていた。真面目な話もできたし、距離も少し縮まったような気がする。楽しかったし、よい飲み会だったと思う。でも、その時も「あれ?2人は付き合ったりしないんですか?」とか「うちの会社は社内恋愛を推奨しているんですよ」とたまに言われたりして、いつもみたいにへらへら笑って過ごせばよかったんだけれど、やっぱりほんの少しだけ胸の辺りから歪んでいくような気持ちになっていた。余り者の男性だって困ったような顔をしていて、とても申し訳なくなる。
お酒を飲みながらとはいえ、3時間も話して盛り上がるくらいなんだから、まったく気が合わないわけではないだろう。仕事もできるし、気も利くし、会社ですれ違うと話かけてくれたりするし、余り者の男性はすごくいい人なんだとは思う。
私だって、結婚適齢期で余りに余っている。
恋愛というどうにもできない壁をずっと眺めているだけだと思っていたのに、突然強力な助っ人が現れたような気分だ。理想もグッと低くして、妥協できるところですればいい。人を好きになるなんてきっと簡単で、自分で自分に催眠術をかければいい。