利益率が10%でも右肩下がりなら撤退!常識破りなネスレの発想
その結果、この事業の赤字がネックとなって、全社的に利益率を押し下げる。これが、日本企業の典型的なパターンだといいます。
■究極は将来性を見極める目が重要
規模は大きくても将来性の見込みがない利益率10%の事業から、規模は小さくても成長が見込める利益率25%の事業にリソースを振り分けるという問題解決をし、価値を出すのがファイナンス部門の役割だという考え方。
たとえばネスレでいうと、「ギフトボックス」も問題なのだそうです。お中元、お歳暮のマーケットが縮小していくなか、そこにリソースを注いでも「稼ぐ仕組み」として成立しないから。
つまり究極的には、将来性を見極める目が重要だということではないでしょうか。
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過去には「キットカット受験生応援キャンペーン」など数々のプロジェクトを成功させ、現在も新しい「ネスカフェ」のビジネスモデルを構築しているというだけあって、著者の考え方は説得力抜群。
本書の内容は、業種を問わず、さまざまなビジネスに応用できるはずです。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※高岡浩三(2015)『ネスレの稼ぐ仕組み』KADOKAWA