大人にどうやって仕事を教えるべき?大切なのは「3つの手助け」
また本書で注目すべきは、大人を相手に教える場合、学習を「獲得」「参加」「変化」と定義している点です。
「学習=獲得」は、成長や経験が得られるという意味。さらには「参加」することで経験が積まれ、その過程においては苦痛という「変化」を乗り越えて学習するということ。
ひとつひとつを見ていきましょう。
■学習における3つの手助け
(1)獲得の手助けをすること
まず「学習=獲得」とは、教える相手が知識、技術、態度などを「獲得」できれば、それは「学んだ」と評価されるということ。
知識が少ない、技術が足りない、望ましい態度が不足している相手に対し、教えることによって「不足分の獲得」の手助けをするということです。
当然、この場合の目的は「獲得」することにあります。だから、なにかしらを獲得しているのであれば、教える方法は問わないのだそうです。
実際のところ英語圏では、知識の不足を補うため、手元にマニュアルを置いて作業させることをJob aids(ジョブ・エイド)と読んで解決策としているのだとか。仕事(job)を手助けする、促進する(aid)という意味があるそれは、不足部分を獲得するための行為だという考え方です。