20世紀に最も影響を与えた思想家の一人カール・マルクスの予言
なのでしょうか?
■2つの視点から見た「資本主義」
それは、マルクスが近代社会を資本主義社会として理解し、そこにある矛盾を暴き、崩壊する必然性を主張したから。
事実、マルクスが批判した近代資本主義社会は、現代でもまだ乗り越えられていません。
そしてマルクスは、資本主義を2つの視点から捉えているといいます。
ひとつは、資本主義を完結したシステムと考え、それがどのように動いているかを分析したもの。これが『資本論』のテーマ。
そしてもうひとつは、資本主義を大きな歴史的展開のうちに位置づけ、資本主義の由来と未来への展望を明らかにするスタンス。これは「唯物史観」と呼ばれるもの。
マルクスの唯物史観によれば、社会的な変化は「アジア的、古典古代的、封建的および近代市民的な生産様式」というかたちで展開し、近代市民的な資本主義によって「人間社会の前史」が終わることになるのだそうです。
つまりマルクスは近代の資本主義が崩壊することを確信し、新たな社会への移行を構想したということ。では「人間社会の前史」が終わったあとの社会を、マルクスはどう捉えていたのでしょうか?
資本主義社会を批判したマルクスが、その到来を期待したのは「共産主義社会」。