20世紀に最も影響を与えた思想家の一人カール・マルクスの予言
資本主義が経済活動の自由な競争を原理としているのに対し、共産主義は経済的な平等の観点から私的所有を制限するもの。
とはいえ資本主義と共産主義の違いを、「自由か平等か」という説明で単純化するのは危険だとも著者は主張しています。
共産主義は「自由を抑圧する社会」とイメージされがちですが、マルクスの考えでは、共産主義は「自由人の連合」だから。
■マルクスの指す「イデオロギー」
ところで現代思想につながる「イデオロギー」の意味を開拓したのはマルクスであるため、次に著者は、マルクスの「イデオロギー」に焦点を当てています。
マルクスによると、「イデオロギー」は「法的・政治的・宗教的および哲学的形態」を指しているのだとか。
だとすればイデオロギーは、人間の意識全体にまで及んでいるということになるでしょう。
そしてマルクスの根本的な洞察によれば、人間の意識のあり方は、その社会の経済構造によって規定されるのだそうです。
そのため社会の経済構造は「土台」と呼ばれ、そのうえに人間の意識形態である「イデオロギー」が「上部構造」としてそびえ立っているということ。
これは、とてもわかりやすい表現だといえるでしょう。