【旅を深めるミニ講座】知れば知るほどハマる、ガムラン&影絵芝居のディープな魅力 〜後編〜
今も時々感じるのですが、音楽で上手くいかないと思うところも、影絵だと思った通りに形にできることがあるんです。人形の作り方は、ガムランと同じように、習うより見て盗め。現地の工場に行って牛皮から作る様子を見て情報を集めるようにしています」
photo:日本アセアンセンター
——以前、川村さんが率いる【滞空時間】の影絵芝居を観た際に、即興的な面白さを感じたのですが、台本はないのですか?
「物語の筋立てやシーン割りは決まっているのですが、台詞は決めずにその場で考えて喋っているので、観客がウケていれば、そのお客さんいじりに集中したり(笑)、キャラクターの設定も即興で面白かったら次に使おうというのも多いです。バリ島のワヤンでも、ダランと呼ばれる影絵師が3、4時間、一人で何役もやるのですが、やはり即興で台詞を作っていて、その状態は落語に似ているんですよね」
——落語もそうですが、時代背景によって笑いのネタが違うのも面白いですよね。「そうですね、バリのワヤンでも大昔から同じ道化のキャラクターが演じられてますが、時事ネタを交えて常に旬の笑いを届けます。僕も最近は、どうやって笑いをとるかを大切にしていて、いわゆる漫才師のような笑いではなく、人が笑っちゃうシチュエーションを作りたいと思っています」