はじめに
平成26年7月、損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」が改定されました。
(参考純率についてはコラム「火災保険の値上げ」をご参照ください。)
改定概要は、以下の2点です。
(1)住宅総合保険(火災保険)の参考純率を平均で3.5%(※)引き上げる。
(2)火災保険の参考純率の適用は保険期間が10年までの契約とする。
※この値は、現存するすべての契約の改定率を平均した値です。したがって、契約条件(保険金額や建物の構造など)によって改定率(引上率・引下率)は異なります。
この改定に伴い、平成27年10月以降、各損害保険会社が販売する火災保険も見直しが行われました。
以下、長期火災保険の見直しの内容についてみていきます。
長期契約の保険期間は最長10年に短縮
平成27年9月末日まで、住宅総合保険(火災保険)などの、保険期間は最長36年でしたので、ほとんどの住宅ローンの完済期間まで1回の保険契約で済ませることができました。
今回、損害保険料率算出機構の行った改定により、平成27年10月以降の住宅総合保険(火災保険)などの長期契約は最長10年までの保険期間となりました。住宅ローンの返済期間によっては、ローンの返済期間中に当初加入した火災保険が満期となり、契約の継続(更新)や新しい保険に加入するなどの見直しを行う必要があります。
改定の背景
損害保険料率算出機構は、火災保険の参考純率の適用を保険期間10年までと改定した背景の一つとして、「地球温暖化により自然災害の将来予測に不確実な要素が増している」との、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による研究成果を挙げています。
つまり、今後発生する災害の規模や頻度の予測がしづらく、予測期間が長くなるほど、災害の規模や頻度のブレ幅が大きくなるため、10年を超える契約(保険期間)では、リスク評価が難しくなったということです。
また近年、台風や台風以外の風災、雹(ひょう)災、雪災などの自然災害による支払保険金の増加や、建物の老朽化による水濡れ事故の増加による支払保険金の増加も、今回の改定の背景として挙げられています。