はじめに
2015年7月に火災保険の「参考純率」が改定(引き上げ)されました。それに伴い、2015年10月以降、各損害保険会社の火災保険料も見直され、その多くが値上がりしました。
以下、参考純率改定による火災保険料の値上げについてみていきます。
※参考純率:「損害保険料率算出機構」が算出する「純保険料率」のことです。保険金額に対する保険料の割合を「保険料率」といい、純保険料率と付加保険料率で構成されています。純保険料率とは、事故が発生した場合に保険会社が支払う保険金にあてられる保険料率、付加保険料率とは、保険会社が事業を行うための経費にあてられる保険料率のことです。
各損害保険会社は、参考純率を参考に自社の純保険料率を算出します。なお、参考純率を用いずに、保険会社が独自に純保険料率を算出することもできます。
参考純率改定(引き上げ)の背景
損害保険料率算出機構の「『火災保険』参考純率改定のご案内」によりますと、改定の背景として、
- 台風災害による支払保険金が前回(2004年)の改定以降、多く発生。それに伴う支払保険金の増加や、風災、雹(ひょう)災、雪災等の自然災害の影響による支払保険金の増加。また、自然災害以外では、水道管等の設備の老朽化等による水濡れ損害による支払保険金の増加。
- 地球温暖化による自然災害の将来予測に対する不確実性の増大。
以上の2点を挙げています。
参考純率の引き上げについて
火災保険の参考純率は、今回の改定により平均で3.5%(※)の引き上げになりました。
(※)この値は、現存するすべての契約の改定率を平均した値です。したがって、契約条件(保険金額や建物の構造など)によって改定率(引上率・引下率)は異なります。
また、建物の所在地や建物構造ごとにリスクが異なるため、所在地や建物構造により値下げになった地域もあります。以下の3つの表を参照してください。
このように、参考純率の改定率は地域や建物構造によりバラつきがあります。