【保険料月1万円以下で豊かに暮らす】第34回 若い頃に加入した保険のお宝度をチェックする
このケースでは予定利率が1.50%であっても、払込保険料と満期保険金の関係等から算出した実質利回りは0.405%になっています。
預金等との比較は「返戻率」を参考にする
予定利率≠実質利回りということは、継続するかしないかを別の尺度で判断しなければいけないことになります。特に、特約をいっぱい付けていて、保障を手厚くしていればいるほど貯蓄性は低くなります。予定利率の高い時代に加入したからといって、貯蓄性が高いとは限りません。
こんなときに活用したいのが返戻率(%)です。「受取総額÷払込保険料総額×100」で算出します。この数値が100%未満の場合は元本割れをしている状態です。
では、1983年10月、27歳のときに30年満期の養老保険に加入したAさん(女性)のケースでみていきましょう。
Aさんが加入したのは予定利率5%の時代です。知り合いの保険営業員に勧められて、貯蓄代わりに保険料を払ってきました。満期保険金額は150万円、毎月の保険料は4,125円です。表2の計算式に則って返戻率を算出したところ、Aさんはがっくりとうなだれてしまいました。
<表2:Aさんの保険内容と返戻率>
予定利率5%時代に入った保険の返戻率が101.01%だったからです。30年積み立ててきて、約1%しか増えていないことになります。実質利回りは0.069%です。
Aさんの契約の場合、入院給付金日額3,000円の医療保障(疾病・傷害特約)が付いていました。
この特約保険料が月払保険料4,125円のうち1,050円を占めていたため、実質利回りが低かったのです。もし、当時の郵便局の定額貯金(現:ゆうちょ銀行「定額貯金」)に預け入れていたら、年利6%で運用できた時代です。Aさんの落胆ぶりは相当なものでした。
もちろん、30年間、日額3,000円の入院保障と3・6・12万円の手術保障を毎月1,050円の保険料で備えることができたわけですから、元本割れをしていないだけでも良しといえるかもしれません。Aさんがそれを理解して利用しているのなら、なんの問題もありません。ただ、Aさんは高利回りの貯蓄だと思って30年間保険料を払い続け、満期間際になって、貯蓄性がほとんどなかったことに気が付いたのです。