【保険料月1万円以下で豊かに暮らす】第5回目 高額療養費の対象にならない医療費をどう備えるか
保険診療費以外は全額自腹
第3回、第4回で高額療養費制度の威力を紹介しました。
でも、ひとつ、気を付けなければいけないことがあります。それは、この制度はオールマイティではないということです。
そのため対象にならない医療費をどう備えるかが問題なのです。
風邪やインフルエンザで病院の治療を受けると「保険診療」として、医療費の請求があります。この場合はかかった費用の1~3割を払えばいいですよね。でも、虫歯治療の際にセラミックやインプラントを使ったり、歯列矯正をしたりする場合に「全額自己負担になりますがいいですか?」と、聞かれたことはないですか?これを「保険外診療」または「自由診療」などと言います。これらに該当すると健康保険が使えないので、治療費は全額患者負担になります。
しかも、病院側が自由に料金設定できるので同じ治療を受けても金額はバラバラで、高額療養費制度の対象にもなりません。
入院費や手術に関しても同様に保険診療と保険外診療があります。保険外診療の代表格は「入院時食事療養費」、「差額ベッド代」、「先進医療費」です。
入院中の食事代は1食260円が基本です。1日3食で780円、10日入院すれば7,800円かかります。全額自腹と言っても高額なものではありません。
差額ベッド代とは一般的に、面積が1人あたり6.4平米以上で4人部屋以下の病室に自分の意思で入院したときに請求される費用です。中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況(平成23年10月5日発表)」によると、1日当たりの差額ベッド代は平均5,829円(図表1)。
しかし、実状は日額80円から36万円までと幅広く、あらかじめ費用を予測しにくい難点があります。個室であれば5,250円超8,400円以下が最も多い(全国で34,068床)ですが、1日10万5,000円超の病室も69床あります。