くらし情報『卵を産む哺乳類カモノハシとハリモグラの苦味感覚を解明』

2022年6月10日 11:00

卵を産む哺乳類カモノハシとハリモグラの苦味感覚を解明

また、比較対象として使用した有胎盤類のTAS2R16と有袋類のTAS2R705(有胎盤類のTAS2R16と相同な有袋類の苦味受容体)がβグルコシドの受容体であることも分かりました。このことは、植物や一部の無脊椎動物が持つ防御物質であるβグルコシドを苦味として検知する能力が、現生の哺乳類全般に広く共有された重要な能力であることを意味すると同時に、この能力が単孔類と胎生哺乳類が分岐する以前の初期哺乳類で既に獲得されていたことを示唆します。単孔類と胎生哺乳類が分かれたのは恐竜が全盛の時代だった2億年近く前までさかのぼります。
しかし、現生植物に広く見られる有毒な青酸配糖体は、その生合成遺伝子の起源がさらに古い時代であるため、この当時には既に存在していたようです。つまり、有害な配糖体を苦味として検知する能力は、単孔類と胎生哺乳類が分岐する以前の初期哺乳類の採食選択に一定の役割を果たしていたことを示唆します。■ 今後への期待
カモノハシやハリモグラは南半球の限られた地域にのみ生息し、野外での継続的な観察も難しいため、その生態には多くの謎が残されています。本研究では、培養細胞を用いた実験系を用いることで、苦味感覚という切り口から単孔類における遺伝子と生態の関連とその進化の一端を明らかにすることができました。

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