長崎県の雲仙温泉 雲仙宮崎旅館が「2023年度グッドデザイン賞」を受賞
雲仙温泉の地獄巡りの終点に位置する1階道路側には宿泊者以外も利用できるカフェやベンチを配置し、滞在施設が少ない温泉街の回遊性や滞在性の向上を図りました。宿泊者の満足度に直接影響する家具や展示、食器や食事を九州、長崎、雲仙産とすることで地域との接続を図り、また多くの人に愛された旅館の歴史を継承するため、内部では看板やガラス作品の活用、外部では象徴的な庭園や松の保存、ファサードの構え等、創業時から変わらない要素を組み込みました。
■グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
長い歴史を持つ温泉街の旅館にも変革の波が押し寄せている。団体のインセンティブ旅行が完全に姿を消した現代では、画一的なおもてなしではなく、ここでなければ得られない体験とサービスを個々のゲストに提供するホスピタリティがなければ選ばれない時代となった。雲仙でなければならない旅館を追求し、ずっと前からここにあるように、雄大な景観の中になじませるようにと作り込まれた空間は、ここを訪れる人までもが自然の一部となる工夫が随所に仕掛けられている。階によって緑の濃さや硫黄の香りまで異なるであろう五感で感じる景色を、美しくエレガントに切り取る開口部も素晴らしい。