<開催報告>ゆかりの文人墨客の随筆集『伊香保みやげ』を女優二人が読み、語る「伊香保石段街おもてなしリーディング2023」開催
本公演では、1996(平成8)年、徳富蘆花記念文学館内伊香保書院で出版された復刻版を朗読しました。
谷崎潤一郎、芥川龍之介、正宗白鳥等錚々たる文人が寄稿する中から、1906(明治39)年に上野から電車と馬車鉄道、二人引きの人力車を乗り継いで伊香保を訪れた近松秋江の「吾妻川の大渓谷」と、群馬県前橋市出身で幼いころから足しげく伊香保を訪れた萩原朔太郎の「石段上りの街」を朗読。『伊香保みやげ』の「附録・伊香保案内」と合わせ、今は無き馬車鉄道やチンチン電車、1945(昭和20)年まであった「伊香保御用邸」の話等を交え、観客が伊香保の魅力とあらためて出会う機会となりました。
加えて、あまり知られていない夏目漱石と伊香保温泉のゆかりを紹介。漱石と、前橋市出身で世界初の美学教授となった大塚保治とその妻・楠緒子との謎に包まれたつながりに思いをはせ、一説では楠緒子が登場する女性のモデルとも言われる漱石の短編「夢十夜 第一夜」を朗読しました。
今昔の伊香保の魅力を伝える神由紀子
構成・演出も兼ねた中村ひろみ
配布された充実した資料
前半の伊香保のレクチャー部分を楽しんだ観客もいれば、後半の聞きごたえのあるリーディングを堪能した観客もいて、一人ひとりがそれぞれの時間を楽しみました。