中国茶文化学者、日本中国茶研究所所長 楊多傑氏のインタビュー記事を『人民日報海外版日本月刊』にて公開
それを教え伝えることこそ、楊多傑氏が「多聊茶」を立ち上げた初志であり、また願いでもある。
昨今では、雨後の筍のごとく各種の茶が次々に現れている。この点について、楊多傑氏の考え方はきわめて開放的かつ楽観的である。「伝統的な茶文化にとって、それは衝突や矛盾を引き起こすものではなく、むしろ助けとなるものです」。風雅な趣や奥深さ、そうした茶の湯の営みがもつ伝統を、目新しさを求めた茶や何かをあれこれ加えた茶、ましてやペットボトルに入った茶などに求められるであろうか。しかし、楊氏は言う。2000年前後に生まれた人は、小さな頃からそうした各種の茶を飲める環境にあるので「幸せですし、幸運です」と。つまり、これはいわば目に見えない形での文化の浸透であり、彼らは自覚的に茶文化を愛し、茶文化を守り、そして茶文化を伝える人に育ってゆくのである。
■創新:日本での中国茶研究
この一年、楊多傑氏は頻繁に中国と日本を行き来し、日本中国茶研究所の設立に向けて準備を進めている。中日両国の茶文化の違いについて、氏は「下より上へ」と「上より下へ」という言葉でその要点を明らかにする。陸羽の『茶経』には「南方に嘉木有り」とあり、また顧炎武の『日知録』には、「秦人の巴蜀を取りてより後、始めて茗飲の事有り」