どうする?妻子持ちの男に近づく年下女、口うるさいレス妻と比較してつい…
ひなたが眠いのか、ぐずり始める。
痛む腰を気にかけながらひなたを抱き上げ、その顔を覗き込んだ。
(こんなに育児大変なのに、なんなの)
玄関からバンっと扉が閉まる音だけが部屋に響いた…-
………
扉を閉めた宗太は、肩が上下するほど大きく息をつき、エレベーターまで歩き出す。
ボタンを押してエレベーターがくるまで、携帯をいじった。
赤いスクエアに名刺のデザインが目立つアプリの横にあるlineをタップする。
すると同時に、大学時代と印象の変わった沙彩と、会った時のことが思い出された…-
………
取引先の営業マン佐々木「では広告費の件ですが、担当が戸田になります。彼女はわが社でも期待のエースなんですよ」
そこには、黒髪ボブに赤ぶちの眼鏡をかけた沙彩の姿があった。
沙彩「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
控えめに笑ってみせる沙彩は、知り合いを前にしようときちんと仕事をわきまえている様子だった。
宗太「よろしくお願い致します」
自分の名刺と沙彩の名刺を渡しあった時、沙彩がふいに口元に手をあて、くすっと笑いはじめる。
佐々木「どうした?」
沙彩「いえ。仕事なので言わないほうがいいかなと思ったのですが、実は大学サークルの先輩なんです。