この3年間。
彼に、私が、どんなに変わったかを見せつけられるこの時を。彼が、私を見直して、悔しがる日のことを。唯香は、ひそかに、ガッツポーズをしたい気分だった。
■ひそかな復讐に心は浮き立って
それから、1か月ほど。唯香は入念に体と肌の手入れをして、その日を待った。将は律儀に、セミナーの次の日には社内メールでお伺いを立ててきた。
浮き立つ心を押さえつつ、唯香は落ち着いて応対した。
すぐに返事なんかしない。少しだけ、遅らせる。
相手の提案には飛びつかない。「その日はダメかも・・・・・・」、と含ませつつ、代替案を提示して、自分のペースに持って行く。
そんな唯香の変化に気づいたのか気づかないのか。将はマメマメしく、メールを送ってよこした。まるで初めて会った時のように、丁寧に。好きな女の子を誘うように。
そんな将の対応の変化がうれしくて、唯香ははやる気持ちを押さえつけるのが大変だった。
「え、なんで会うの。今さら、別れた男に」
バッカじゃないの、と言わんばかりのあきれ声で、親友の岬が言った。岬がこう言うだろうとは思っていた。岬は現実主義で、切り替えが早い女だ。
過去にはとらわれず、次へ次へと前を向く。