「そうね、私マンデリンにしようかと思って。将は?いつものカフェオレ?」「いや・・・、俺も同じのでいいよ。唯香と」「じゃあ、将が頼んで」「あ、ああ」
将の視線が自分の上にある。しかも熱のこもったまなざしだ。それがうれしくてたまらない。まるで今日初めて会ったように。そう、出会い直せたら、もしかしたら2人は今度こそうまく行くのかもしれない。
「なんか、唯香、感じ変わったな・・・・・・」「そう?」「そうだな、・・・・・・キレイになったよ」
将が照れたように笑う。
それだけで、もう今日会う目的は果たせたようなものだ。唯香は、満足げに息を吐き、熱いコーヒーに口をつけた。
それから、30分くらい、仕事の話や近況の話など、当たり障りのない話をした。そのうちに、徐々に、将も気安さが戻ってきたのだろう。少し足を崩して、大きく伸びをした。
「それにしてもさ、唯香ホントに、いい感じだよ。あの頃はさ、なんかもっと、暗い感じだった」
唯香は、その言葉を聞いて、急に、目の前がさっと暗く陰るのを感じた。
「ちょっとじめっとしてるっていうか。
くら~く怒ってたりしただろ?俺、そういうの苦手でさ」
将は無邪気な笑顔を浮かべて唯香の顔を覗き込む。