だからか、そんなに色気もないし、男っぽい見た目のくせに、付き合う男は途切れたことがない。
「今なら、私、将と対等にいられると思うんだ。」「は?あの軽薄浮気男のこと、まだ好きなわけ?未練あるの?」「そんなんじゃないよ。もうどうでもいいの。吹っ切れてる。だ、か、ら、今会いたいんじゃない。もうどうでもよくなった男だから、今の変わった私を見せてやりたいのよ。」唯香はちょっと強調しながらそう言う。
岬は、「どうだか」という顔をしたが、それ以上は言っても無駄、と判断したのか続けなかった。ただ、一言だけ言い含めた。
「ミイラ取りがミイラにならないようにね」
■因縁の彼との再会の行方は・・・・・・
将が10分遅れで店に入って来たとき、唯香はちょうど席に戻って、コーヒーを吟味している最中だった。
「よ。待たせてごめん!」
ドカッと、目の前のソファに将が座る。ハッとして目を上げた。
将は、唯香の姿を上から下までじーっと見て、少しだけ、「へえ」という顔をした。そして、飛び切りやさしい顔で、唯香に微笑みかけた。
「何頼むの?決まった?」
唯香は、舞い上がりそうになる気持ちを押さえつけながら澄まして答えた。