これって、もしかして・・・・・・。
「昨日もね、頼まれた資料を送ってあげたらね、こんな風に返してもらって・・・・・・」派遣社員が、顔を赤らめながら、スマホでメールを開いて文面を見せてくれる。
「本田ちゃん、資料ありがとう。いつも本田ちゃんの笑顔に癒されてます。こないだ風邪気味だって言ってたけど、もう大丈夫?本田ちゃんがいない会社なんてつまらないんだから。無理しないで、どうかお大事に!マサル」
文面を読んでいるうちに、手が震えそうになった。
「なにこれ!」と叫べたらどんなに良かっただろう。でも、そこは会社で、相手は、年下の若い女の子だ。
「これ・・・・・・が?」なんとか笑顔を取り繕って、本田ちゃんに尋ねる。本田ちゃんは、うつむきながら、小さい声で言った。
「ねえ、河野さんって私のこと、好きなのかなぁ?」
そこから先は、本田ちゃんが将のことを好きになって行く過程の打ち明け話が延々続いた。目の前のかわいらしい派遣社員のキレイにカールした髪をぼんやり見つめながら、唯香は、ただ貼りつけた笑顔のまま相槌を打ちながらぐるぐる考えていた。
「将の、こんなやさしさは、いつものこと。将に悪気がないのは、わかっている」