恋愛情報『【小説】地雷な彼/恋愛部長』

【小説】地雷な彼/恋愛部長

僕は別に下心なんかないって」

でも、唯香の心は思ったほどは晴れなかった。

「本田ちゃん、俺のこと好きなんだ・・・・・・そっか」

将が、そんな風につぶやいて、まんざらでもないような表情をしたからだ。

「将、なんかうれしそう?」と気づいたが、怖くて何も聞けなかった。

その日から、将が本田ちゃんを構う頻度が以前よりも増したのは、事実だった。

本田ちゃんは、将が席に行くとあからさまに声を弾ませて、うるうるした目で将を見つめた。将は、何気ないことで話しかけたり、お菓子をあげたりして、以前にも増して、本田ちゃんに細やかな気配りをしてみせた。唯香は、たまに本田ちゃんが、将と話しながらこっちに向かって、うれしそうにウィンクして来るのを、苦笑いで受け止めなければならなかった。

全部自分のせいだった。
自分が余計な話を入れてしまったばかりに、将に火をつけたに違いなかった。

男と言うのはしょうがない生き物で、自分のことを好きな女が大好きなのだ。いつまでも自分だけを見つめていてほしいのだ。たとえ他に付き合っている女がいようとも。そんなことを、唯香は、将と付き合うまで知らなかった。

最終的に、唯香が将と別れた原因は、些細なことだった。

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