でも、何が悲しくて、自分の彼氏に対する恋愛相談を受けなければならないのだろう。しかも、将が、彼女にしている思わせぶりな行動の詳細を逐一報告されて。
最後まで、本田ちゃんには、自分が将の彼女だとは言えなかった。まさか、将に彼女がいるなんて、本田ちゃんは思いもしないみたいだった。
唯香は、ちょっと、本田ちゃんの素直さがうらやましかった。自分の頭の中は黒い霧が垂れこんでいて、まったく先が見えないというのに。
■まさか、そんな展開になるなんて
その日、唯香は、将を呼び出して、本田ちゃんの話を洗いざらいしてしまった。黙っていようと思ったけれど、不安が大きく膨らんでもはや自分では押さえきれなくなっていたのだ。
この不安は、将にしか消し去ることはできない、と思った。
いや、将に会うまでは、将に話さえすれば、すべては解決するような気がしていたのだ。将が、大慌てで否定して、「唯香だけだよ」と言って、抱きしめてくれれば、きっとスッキリするのだと。
まさか、自分が言ってしまったことが原因で、もっと苦しめられることになるとは思いもしなかった。
将は、確かに、否定はしてくれた。
「そんな、本田ちゃんの勘違いだよ。