恋愛情報『【小説】ひと夏の恋、永遠の恋。/恋愛部長』

2019年5月24日 21:00

【小説】ひと夏の恋、永遠の恋。/恋愛部長

そう口にした途端、亮平の顔がみるみるゆがんだ。あっという間に、顔が真っ赤になっている。

「誰?好きな男って、どこにいんの?いっしょに住んでるの?」

見ると大きな目が涙目になっていた。亮平が泣くのを、長く付き合っていて初めて見た。

「俺、和紗が好きだから、別れたくない」

「亮平・・・・・・でも、」

「俺が、会社入ってからひどい態度だったのは、反省してる。和紗がフランスに行っちゃって、それで、連絡も途絶えて、すごい不安で、それで分かったんだ。

俺、やっぱり和紗じゃなきゃダメなんだって。俺・・・・・・」

今さら、だ。
和紗は、亮平の言葉に心の中で苦笑する。男の反省って、いつも的外れだ。失ってからその存在の大切さを知る、なんて古今東西の男の歌詞にしょっちゅう出て来るけど、女からしたら、迷惑極まりない。女の恋は、上書き型だ。新しい恋に書き替えられたら、もう古い恋などどうだっていい。傷つけられたことすら、どうだっていいのだ。謝ってもらったからって、過去の自分は救われやしない。大事なのは、いま、この時だ。


そして、いま、この時、目の前にいてほしいのは、恋を語ってほしいのは、この男ではない。

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