恋愛情報『【小説】ひと夏の恋、永遠の恋。/恋愛部長』

2019年5月24日 21:00

【小説】ひと夏の恋、永遠の恋。/恋愛部長

■秋、突然の再会

【小説】ひと夏の恋、永遠の恋。/恋愛部長
気づけば、パリが1年でもっとも美しくなる季節、秋がやって来ていた。街を歩いても空気が冷たく、街頭で焼栗の焼ける香ばしい匂いが漂っていた。

会社のデスクに戻ると、事務の女の子が妙にニコニコしながら近づいてきた。

「カズ、あなたのボーイフレンドが来てるわよ。隣の部屋に」

ハッと心臓が掴まれたような気がした。たぶん、飛ぶように、部屋を出て行ったと思う。それくらい、心が跳ね上がっていた。


「マサシ!!」

ドアを大きく開けて、部屋に飛び込んだ。

彼は、隣の部屋の窓に向かったテーブルの椅子に腰かけていた。突然飛び込んだ和紗の勢いに押されて、飛び上がってこちらを振り向いた。

驚きのあまり、目を見開いて。何もかもが、一瞬で、彼には分かったようだった。

「かずさ・・・・・・」

亮平は、呆けたような顔で立っていた。「突然、ごめん。出張でパリまで来て、それで、驚かせようと思って」

一生懸命笑顔を貼りつけて説明しようとする亮平を見ながら、みるみるあからさまな落胆が襲ってくるのを、和紗は感じていた。


なんと返事をしていいのか分からず、和紗はただ黙って、亮平の横の椅子に腰かけた。

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