「いい。いらない。今酒とか飯とか口にしたら絶対寝落ちする」
そう言いながら、すでに今にも寝息を立てそうな顔をしている。
「ごめ・・・・・・、話って何・・・・・・?」一真は目を閉じたまま聞く。
ずるい、と舞は唇をかんだ。
そんな風に、「疲れた」って全身でアピールされたら、何も言えない。言い出せない。
「・・・・・・ううん、いいよ。
またにする。一真疲れてるし」「なんだよ、無理やり時間つくって来たんだから、言えよ」「たいしたことないんだ・・・・・・ごめん。わざわざ来てもらって。ごめんね!また今度にするね」
あわてて舞が言うと、一真は、大げさなため息をもらす。
「・・・・・・んだよ、それ。俺いま一瞬でも時間あったら寝たいのに。どうでもいいことなら、わざわざ呼び出すなよな」
本気でイラだっているような声だった。その声に、心の中をざくっと削られたような気がした。
「一真・・・・・・」
一真は、返事もせずに、両腕を顔の前で交差させてじっとしている。
もしかしたら、本気で寝入ってしまったのかも知れなかった。舞は、その場に座り込んで、自分の膝の上を見つめた。
ぱたり、と涙がこぼれた。