恋愛情報『【小説】時間の奴隷/恋愛部長』

2019年6月18日 22:00

【小説】時間の奴隷/恋愛部長

「いい。いらない。今酒とか飯とか口にしたら絶対寝落ちする」

そう言いながら、すでに今にも寝息を立てそうな顔をしている。

「ごめ・・・・・・、話って何・・・・・・?」一真は目を閉じたまま聞く。

ずるい、と舞は唇をかんだ。

そんな風に、「疲れた」って全身でアピールされたら、何も言えない。言い出せない。

「・・・・・・ううん、いいよ。
またにする。一真疲れてるし」「なんだよ、無理やり時間つくって来たんだから、言えよ」「たいしたことないんだ・・・・・・ごめん。わざわざ来てもらって。ごめんね!また今度にするね」

あわてて舞が言うと、一真は、大げさなため息をもらす。

「・・・・・・んだよ、それ。俺いま一瞬でも時間あったら寝たいのに。どうでもいいことなら、わざわざ呼び出すなよな」

本気でイラだっているような声だった。その声に、心の中をざくっと削られたような気がした。


「一真・・・・・・」

一真は、返事もせずに、両腕を顔の前で交差させてじっとしている。

もしかしたら、本気で寝入ってしまったのかも知れなかった。舞は、その場に座り込んで、自分の膝の上を見つめた。

ぱたり、と涙がこぼれた。

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